活動報告

掲載日:2018.12.25

現地駐在専門家 安齋雅彦


 

今回は、2カ所のSub-County Office で行ったワークショップについて報告したいと思います。

  • Sub-County Officeでのワークショップについて 


このワークショップは、介入パッケージの普及と県普及員とのさらなる協力を目的に実施しました。

Sub-Countyとは、県の下位の区画で郡という単位になります。ムバララ県では、17の郡があります。下の図は、ムバララ県の郡と県庁職員(県普及員)の担当地区、そして黒いドットが本プロジェクトの協力農家の位置を表しています。現在のところ、家畜関係の普及員は人手が不足しており、全ての郡に1人ずつ配置されているというわけではありません(中心部は何人かでカバーし合っている)。獣医事務官であるVeterinary Officer(VO)と畜産事務官のAnimal Husbandry Officer(AHO)がそれぞれの各担当郡を受け持っています。今回、ワークショップを行ったのは、ムバララ県の北部、地図上オレンジ色のKagongi郡(担当普及員:モニカ)と赤色のRubindi郡(担当普及員:ロナルド)の2カ所です。

図1.ムバララ県Sub-Countyの普及員配置図



Kagongi郡のワークショップでは、まず担当普及員であるモニカが介入パッケージの搾乳衛生について説明してくれました。そして、この日は、別の郡の担当畜産事務官であるアリス(担当郡:Bubaare)も駆けつけて来てくれて、乳房炎についてプレゼンしました。前回までは搾乳衛生に関して、道具を使って説明していましたが、一頭一拭の説明をより分かりやすくするため、今回動画を作成し、参加者の方に見てもらいました。参加者の方々は、とても興味深く動画を見ており、非常に好評だったと思います。その後、少しテクニカルな内容ですが、私から搾乳刺激(前絞り・乳頭清拭)がどのように乳量に影響するかを説明しました。

写真1, 県普及員モニカによる搾乳衛生の説明



写真2, 県普及員アリスによる乳房炎の説明



写真3, 安齋による搾乳刺激の説明



Rubindi郡のワークショップでは、UCCCU(ウガンダ酪農組合連合会)の普及員(Mr.アガバ)と、首都カンパラにあるマケレレ大学からインターン学生(獣医学生)  4名も、一緒に参加してくれました。学生たちは、ムバララ県獣医事務所(本プロジェクトのメインカウンターパート)にインターンで一カ月ほど来ていましたが、折角の良い機会なので、このワークショップに参加してもらいました。Rubindi郡担当のDr.ロナルドがまず搾乳衛生について説明し、UCCCU普及員の方が、品質の良い牛乳・乳質検査について、そして学生たちは乳房炎について、説明してくれました。この日は、予想以上の参加者が集まり、ワークショップ終了後も多くの質疑応答が飛び交い、とても盛況なものとなりました。

写真4, UCCCU普及員(Mr.アガバ)による品質の良い牛乳の説明



写真5, マケレレ大獣医学生による乳房炎の説明



また、今年の10月から文部科学省のトビタテ留学制度を利用して、本プロジェクトに酪農学園大学獣医学類5年生の梅原悠季さんが参加してくれています。今回のワークショップでは、日本文化紹介の一つとして、現地の伝統的な布(チテンジ)を使って作成したお手玉を披露しました。初めて見る日本の遊びに参加者たちは、興味津々で、参加者の一人に挑戦してもらうと、会場からは大きな笑いが起き、非常に盛り上がりました。このプロジェクトに梅原さんが参加してからは、プロジェクトチームメンバーや農家さんとの関係により良い変化があるとも感じています。現地の方々は、彼女の明るい性格にとても好感を持ってくれており、また今回のような、マケレレ大学生との交流では、私ではできない同じ獣医学生としての交流をしてくれたと思います。彼女の記事も、酪農学園大学社会連携センターのページに載っているので参考にしていただければと思います。URL: https://exc.rakuno.ac.jp/article-11246.html



写真6.7, 酪農学園大トビタテ留学生(梅原悠季さん)によるお手玉の紹介



今まで、何度かワークショップを開催してきましたが、今回のワークショップがこれまでと違うところは、担当地区の県普及員が自ら参加者を集め、彼らの所属事務所で開催したということです。つまり、より彼ら(県普及員)に近い参加者(農家さん)が集まり、彼らのプレゼンを聞くことができました。実際、私が一方的にプレゼンをすることは比較的簡単ですが、それでは持続可能性(サステイナビリティ)につながりませんし、外国人からのプレゼンだと、やはりどうしても参加者との壁もあると思います。今回のように、普段から接している県普及員から話を聞くことは、より直接的に参加者に内容が届くのではないかと感じています。

また、改めて思ったことは、サポートすることと主体性を促すことの重要性です。私の役割としては、彼らがより自発的・積極的に動けるように、本プロジェクトを通して後押しすることだと思っています。ただし、言うのは簡単ですが、この部分が最も困難な部分であるのも事実ですので、今後も継続的に試行錯誤しながら進めていきたいと思います。

そして最後になりますが、今回は、県普及員、獣医学生、UCCCU普及員との間で、普段では交わらない人々が、このワークショップを通して、繋がることができました。このことは、彼らのウガンダでのコミュニティをさらに広げるものになったと思います。このような現地の人々の間の出会いの場、コミュニティの場としてもプロジェクトが存在することが、この先のサステイナビリティに繋がっていくのではないかと感じています。



写真8.9, 県普及員ロナルドによる搾乳衛生の説明